読了「羊は安らかに草を食み」
宇佐美まことさん「羊は安らかに草を食み」
タイトルや淡い色合いののどかな表紙からは想像出来なかった
「水曜日の凱歌」に続き戦争と戦後の物語は
これも読み応えがあり読んで良かったと思える作品でした
幸せな再婚をして今は軽い認知症を患う86歳の益恵
句会の仲間80歳のアイと77歳富士子の協力で益恵の過去を遡る旅
益恵が若い頃暮らした町を巡り秘密が徐々に解けていく様子と
11歳で孤児となり満州から引き揚げてくる戦後の壮絶な過去が
交互に描かれ
フィクションではあっても参考文献を見るとかなり事実に近いような
戦争はあまりに残忍で
辛いという言葉では言い尽くせない
人間の尊厳などなくなって
虫けらのように扱われる命と敗戦国となった日本人の扱い
読んだ後も頭から消えず
益恵の過去を封印する強さと
満州から家族同様に手を取り合ってきたカヨちゃんとの秘められた過去が衝撃的で
アイと富士子にも事情があり
「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」という言葉
「あとは死ぬだけだから何も怖くない」という達観したアイの言葉に
暗いだけの話ではなく
年老いた3人の最後の生き方が前向きで希望があることに救われました
今週金曜日は図書館の返却日ですが
まだ3冊目に入ったばかり^^;
面白い本というのは
早く先が知りたくてどんどんページが進み一気に読める作品と
一行一行に思いがこもり
ページが進まない時があって...
今回はそんな感じです
5冊も借りたのはやはり多過ぎ^^;
予約同様にネットで出来ることを知らなかった貸出延長
今回初めて試しました^^
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